「古都」(川端康成)
抑制した筆致で描かれる、静かに燃える若者の感情 「古都」(川端康成)新潮文庫 上のすみれと下のすみれとは、一尺ほど離れている。年ごろになった千重子は、「上のすみれと下のすみれとは、 会うことがあるのかしら。 おたがいに ...
抑制した筆致で描かれる、静かに燃える若者の感情 「古都」(川端康成)新潮文庫 上のすみれと下のすみれとは、一尺ほど離れている。年ごろになった千重子は、「上のすみれと下のすみれとは、 会うことがあるのかしら。 おたがいに ...
高度文学成長、色彩を取り戻した日本文学 「日本文学100年の名作第6巻 ベトナム姐ちゃん」新潮文庫 「ベトナム姐ちゃん」(野坂昭如)横須賀のドブ板通りのバーのホステス・弥栄子は、いつもベトナム帰りのアメリカ兵に対し...
「源氏物語」と「竹取物語」、違うのは男女の立場 「現代語訳 竹取物語」(川端康成) 新潮文庫 天下の男はみな、かぐや姫を手に入れたいと願った。中でも粋で通っていた石作皇子・車持皇子・右大臣阿部御主人・大納言大伴御行・中納...
三篇の作者の人生そのものが「幻」といえる 「百年文庫039 幻」ポプラ社 「白い満月 川端康成」 温泉場の別荘に雇われた 十七歳のお夏の率直な言動に、 療養中の孤独な「私」は 心を動かされる。 ある日彼女は、 谷川を見て...
死の臭いで惹かれ合った二人 「白い満月」(川端康成) (「百年文庫039 幻」)ポプラ社 温泉場の別荘に雇われた 十七歳のお夏の率直な言動に、 療養中の孤独な「私」は 心を動かされる。 ある日彼女は、 谷川を見ているう...
文豪の想像力はかくも凄まじいものなのか 「眠れる美女」(川端康成)(「眠れる美女」)新潮文庫 江口老人が訪れた先は、 「すでに男でなくなっている」 老人のみが 迎え入れられる宿だった。 通された一室の隣に設えてある、 鍵...
妖しい世界の表層をはぎ取れば 「片腕」(川端康成)(「眠れる美女」)新潮文庫 ふと目覚めたとき、 「私」の目に映った不気味なものは、 右腕であった。 ベッドに 「私」の右腕が落ちていたのだ。 全身が戦慄した「私」は、 慌...
妖しい、実に妖しい物語です。 「片腕」(川端康成)(「眠れる美女」)新潮文庫 「片腕」(川端康成)(「日本文学100年の名作第6巻」) 新潮文庫 「片腕を一晩お貸ししてもいいわ」。娘の言葉に従い、「私」は娘の「右手」を借...
名作の冒頭の一文を間違えて記憶していた 「雪国」(川端康成)新潮文庫 昨日取り上げた名作「雪国」。 書き出しの一文は、 日本文学史上最高のものであり、 読んだことはなくとも その一文だけは知っているという方も 多いのでは...
川端文学の難解さの理由 「雪国」(川端康成)新潮文庫 雪深い温泉町で 芸者・駒子と知り合った島村は、 彼女の清廉で一途な生き方に 心を惹かれながらも、 ゆきずりの愛以上のつながりを 持つことができなかった。 そして島村は...